リスキーシフトとは?集団心理4選と対処法

私は普段、ハラスメント防止やリーダーシップなど様々なテーマで研修をさせていただいています。

というのも、パワハラというのはバックに様々な問題があり、それがパワハラという形になって表れただけなのです。

なので、研修をご依頼いただいたらまずはご要望をヒアリングし、その企業の課題に沿った内容をご提案しているのですが、先日、ハラスメントだけでなくコンプライアンスに関する研修のご提案をすることになったので、本日はコンプライアンス違反に繋がってしまうような集団心理について、いくつかご紹介します。

人が何人か集まると、一人の時には生じ得なかったような態度や振る舞いをすることが知られています。
それが「集団心理」です。

集団心理には色々あるのですが、例えば「リスキーシフト」

いわゆる、”赤信号、みんなで渡れば怖くない”。

一人一人は穏健でも、集団になるとより危険でリスクの高い意思決定をしてしまうことです。

会議の場。

同じ意見の人が多いと、お互いに自分達の正しさを補完する心理が働きがちです。
強く同調するほど仲間意識も高まりますし、少々極端な意見を言っても同意見が多いと責任が分散される気がして、段々極端な意見になっていくようなことがあります。

特にリーダーのように影響力のある人がそのグループにいると違う意見の人がいても反論しにくくなりますね。

そうやって、会議でみんなで合議したにもかかわらず、不合理で間違いとしか言えないような決定がなされてしまう場合があります。

SNSで誰かを糾弾するような内容がバーッと拡散されて問題になるのもリスキーシフトです。

Twitterで、自分の考えとは異なるような自分にとって好ましくない投稿を見たとしても、他に誰も非難してなかったら、そうそう強い言葉で非難するようなリプライ(コメント)やリツイート(シェア)をすることはあまりありません。

ですが、自分の他にも強い言葉で沢山の非難のリプライやリツイートがされていたら?

つい「私も!」とその波に乗って、見知らぬ誰かをもっともっと!と強い言葉で糾弾するようなことも起こり得ます。

強い言葉で糾弾した人の情報開示請求をしてみたら人の好さそうな普通の人だった、と内容をたまにニュースで見かけますが、それがまさしくリスキーシフトです。

他にも、誰かがやってくれるだろう、誰もやらないならそんなにたいしたことではないんだろう、と思ってしまう「傍観者効果」

権威ある人から指示をされるとそれは本当は良くないのではないか?と思いつつも服従してしまう「服従行動」

自分ではこれが正しいと思っていても、自分以外の多くの人が他の物を正しいと言ったら知らずしらずに自分の判断を変えてしまう「同調行動」

などなど、集団心理には色々あります。
集団心理は誰にでも起こるものなので、お読みになった皆さんの中にも
「あ~分かる」
「あるある!」
と思われた方が多いのではないでしょうか。

さて、ここまで集団心理についていくつかお伝えしましたが、本日お伝えしたいのは、集団心理って怖いですね、ということではありません。

そういう心理が起こることを知っていれば、それに気づいて望ましい判断をすることも可能になる

ということです。

私は人の持つ理性や知性を信じています。
なので、知らなければ流されてしまうことも、流されやすいと知っていれば、

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誰も何も言わないからまぁいいのかなぁ…
いやいやいかん!傍観者効果にはまり込むところだった!
やっぱりそのやり方は望ましくないのでは?
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と、おかしいものにはおかしいと声を上げることに繋がっていくと思うのです。

もちろん、そういう声を上げるのにはとても勇気が必要です。

上司の皆様、メンバーのそのような声を普段から受け止めていらっしゃいますでしょうか。

会議の中でのメンバーのちょっとした表情の変化を拾い上げているでしょうか。

あれ?と思ったときに素直にその思いをチームに伝えることが出来る、そんな心理的安全な雰囲気の職場を上司の皆様には作っていただきたいと考えています。

本日の話が皆様の会社の健全な事業運営に役立つようでしたら幸いです。

咲良美登理事務所 代表 咲良美登理

社会保険労務士。21世紀職業財団認定ハラスメント防止コンサルタント。中小企業を中心に、ハラスメント相談窓口サービスや窓口担当者養成講座の提供、事案解決サポートや人材育成研修など、ハラスメント対策を起点とした生産性向上のコンサルティングを行っている。
ご相談・お問い合わせ▶https://sakura-midori.jp/contact

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