会社で起こりやすいハラスメントの種類とは

会社で防止措置が義務づけられているハラスメントには、パワハラ、セクハラ、妊娠出産育児介護ハラスメントの3つがありますが、他にも様々なハラスメントの呼び名がありますね。その多くは上記3つのハラスメントの中にある程度集約されるものではありますが、たまに研修でも、パワハラ・セクハラ・妊娠出産育児介護ハラスメント以外にどんなものがあるの?とご質問を受けることがあるので、本日は職場で起こりがちなハラスメントにつて、ご紹介します。

モラルハラスメント(モラハラ)

モラル(道徳や倫理)に反した嫌がらせ。 いじめや嫌がらせなど、精神的に相手を追い詰めること。

家族内のことで話題に上ることが多いですが、もちろん家族外でも上記に該当すればモラハラです。パワハラ6類型の「精神的攻撃」にも該当します。

ロジカルハラスメント(ロジハラ)

正論で相手を追い詰めること。正論自体が問題なのではありません。正論を振りかざして相手を一方的に追い詰めるのが問題です。

上司や先輩の方々は、ご自分の指導の仕方がロジハラになっていないか、改めて振り返ってください。相手の言い分もきちんと聞いているか、逃げ場を断っていないか(自分が期待する返事ができるまで詰める)にも留意しましょう。

セカンドハラスメント

ハラスメントの相談をしたことにより、バッシングや嫌がらせを受ける、二次的なハラスメント。

ハラスメント相談窓口が相談内容を漏らしてしまうなど、ハラスメント相談窓口が正常に機能していないとこういったことが起こります。「機微な個人情報を漏らす」という部分では、パワハラ6類型の「個の侵害」に含まれる「アウティング」にも関連する内容ですね。

アルコールハラスメント(アルハラ)

飲酒や一気飲みの強要、わざと酔い潰したり、酔って絡むなど、お酒にまつわる嫌がらせや迷惑行為。

お酒の場は交流の機会の1つとして全く問題ないのですが、お酒は理性の働きを緩める作用もあり、お酒の失敗が自分のキャリアを絶ってしまうということもあります。「酒は飲んでも吞まれるな」を肝に銘じておきましょう。

逆パワハラ

部下から上司に対して行われるパワハラ。上司がセクハラをしている、パワハラをしている、不正をしているなど中傷して噂を広めることも該当します。

令和2年度の「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、部下からパワハラを受けたことがあるという方が4.2%という結果があります。パワハラは上司だけが気を付けておけばよいというものではありません。立場に関係なく、一人一人が自分が行為者にならないよう注意が必要です。

ハラスメントハラスメント(ハラハラ)

自分が「嫌だ」「不快だ」と感じた他の人の言動に対して「ハラスメントだ」と過剰に主張すること。

業務上必要でかつ適正な範囲を超えない指示、注意、指導等は、たとえ相手が不満を感じたとしてもパワハラになるわけではないという見解があります。安全や品質に関わることなど、時には上司が厳しく指導しなければならない時もあります。人格否定や暴力は言語道断ですが、そうでなければ、指導される立場の方々も過剰に反応せず、冷静に我が身を振り返る必要があることは頭に入れておきましょう。

リモートハラスメント(リモハラ)

在宅勤務などリモートワークしている社員に対し、オンラインを介して行われるハラスメント。

内容は、オンライン会議で部屋を映させたり、勤務時間外にしょっちゅう電話をしたり、自由にも関わらず出社を強要したりなど様々です。COVID-19にて良く言葉を聞くようになったハラスメントですね。

テクニカルハラスメント・テクノロジーハラスメント(テクハラ)

PCやスマホ、その他IT機器などの扱いに慣れていない人に対して、できない事を責めたり、わざと専門用語を使って困らせたりするなどの、いじめや嫌がらせ。

こちらは、傾向としては若い世代から上の世代に行われることが多いでしょう。IT知識を豊富に持っている方からそうでない方に行われる、ということであればそこに立場の優位性がありますので、パワハラの一種と言えます。

スメルハラスメント(スメハラ)

「臭い」により周囲の人に不快な思いをさせること。

今は、香水だけでなく香りの強い柔軟剤やハンドクリームなどもあります。自分が心地よいと思っていても周りはそうではない(強い香りで体調が悪くなる方もいます)場合は意外とありますので、注意必要です。また、体臭や口臭などの場合、本人の人権にも関わってきますので、慎重な対応が必要です。

スモークハラスメント(スモハラ)

喫煙者が非喫煙者に対して煙草の煙や臭いで嫌な思いをさせること。スメルハラスメントの一種。

改正健康増進法により分煙が進んでいますので、昔ほど煙草の問題はないと思いますが、それでも、洋服にたばこの臭いが染みついて臭いなど、非喫煙者にとっては辛い状況は起こり得ます。今は様々な消臭グッズもありますので、喫煙者の方は活用を検討されても良いでしょう。

ジェンダーハラスメント

性別を理由とするハラスメントや差別的扱い。「男・女らしさ」や性別役割分業意識に基づく言動、男性は姓で呼ぶが女性は下の名前で●●ちゃんと呼んで区別するなどです。妊娠出産育児介護ハラスメントやセクハラにも繋がっていきます。

マイクロマネジメント

上司や先輩が部下や後輩の行動を細かく管理して過干渉すること。

これ自体がハラスメントなわけではありませんが、マイクロマネジメントにより部下・後輩が精神的に追い詰められてメンタル不調になるなど、パワハラに繋がりやすい指導でもあります。

知らないことについてはまず「ティーチング」が必要ですが、一定程度できるようになれば少しずつ仕事を任せて育成いくことも大切です。

以上、職場で起こりやすい様々なハラスメントをご紹介しました。ぜひ、皆様の職場でも、一人一人が安心して能力を発揮できる、心理的安全性を皆様で高めていかれてください。

ハラスメント防止研修はもちろん、メンタルヘルスやリーダーシップ、心理的安全なチーム作りなど、コミュニケーション全般についても研修を承っております(人材育成研修はこちら)。ハラスメントの問題も元をただせばコミュニケーションの問題。単にハラスメントを防止したいということだけでなく、一人ひとりが能力を発揮できるような組織に成長させたいというご相談も承っております。研修は、御社の課題、今起こっていることなどをヒアリングさせていただいた上で、御社の課題解決に向けたオーダーメイドのご提案をいたします。どうぞお気軽にご相談・お問い合わせください。

咲良美登理事務所 代表 咲良美登理

社会保険労務士。21世紀職業財団認定ハラスメント防止コンサルタント。中小企業を中心に、ハラスメント相談窓口サービスや窓口担当者養成講座の提供、事案解決サポートや人材育成研修など、ハラスメント対策を起点とした生産性向上のコンサルティングを行っている。
ご相談・お問い合わせ▶https://sakura-midori.jp/contact

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