「不満」は組織の改善や成長のタネになる!

新年度になり、「新入社員が入ってきた」企業もおありと思います。4月は研修が多くて大忙しという人事・総務担当の方も多いかもしれません。
そうはいっても、目をキラキラとさせたフレッシュな新入社員を前にすると、今後、どのように成長していくのか、大変さよりも楽しみが上回るかもしれませんね。
「不満」を放置すると、組織の改善や成長のチャンスを逃すことに
先日、Xでこんなニュースを見かけました。
接客をやりたくて大手飲食店に入社したが、入社後4日間皿洗い、やる気がなくなり退職
元ネタのニュース動画自体は見つけられなかったので、真偽や詳細は不明ですが、今回はこのニュースから考えてみたいと思います。
もし本当に、
「入社後4日間皿洗いをさせられたから」という理由で退職したのだとしたら、皆様はこの新入社員に対してどんな印象を持たれますか?
もしかすると、
- 飲食店に入社したんだから当然でしょ
- 最初は皿洗いから始まるものだ
- 研修として最初に皿洗いさせられても仕方ないよ
- 最初からやりたい仕事なんてできないのに、今の新入社員は甘い etc.
このように、新入社員に対してマイナスイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、私はこのニュース、それで片付けてしまうのはもったいないなぁ、と思います。
「不満」は言い換えれば「改善のタネ」です。不満だと捉えて放置してしまうと、組織の改善や成長のチャンスを逃すことに繋がると考えてます。
業務の指示をする際、意図を伝えていますか

この新入社員は飲食店の接客をしたくて入社したのです。社会人経験豊富な皆様からしたら、接客希望であったとしても、新人が皿洗いから始めることは「当たり前」「意図なんて説明しなくてもわかる」ことかもしれません。
でも、相手は社会人経験ゼロの新入社員です。皿洗いを指示した時に、その意図を伝えていたでしょうか、そしてその意図は伝わっていたのでしょうか。
例えば以下のような必要性は、皿洗いを指示する際にすぐに伝えられますね。
- お客様に快適に過ごしていただくには、店舗で働く全員の連携が欠かせません。そのためには、各担当者がどのような仕事をしているのかを知っておくことも大切です。
- 経験を積んでリーダーになっていってほしいと考えています。そのためには各担当者の仕事を理解すること、大変さを知ることはメンバーから信頼されるためにも大切です。
- 皿洗いはお客様が何を美味しいと思ったか、自社のどのメニューが人気なのか、ダイレクトに把握できる仕事です。
上記のことを伝えて、だから「まずあなたには皿洗いを〇日間やってほしい」と伝えていたら、この新入社員は4日間で辞めなかったかもしれません。
他にも、皿洗いが研修の一環なのであれば、皿洗いの期間について伝えておく必要があったでしょう。
配属された仕事が皿洗いで、皿洗いをしたくて入社したのであれば良いですが、そうではない人に対して、どれだけの期間か伝えないままで皿洗いを指示すれば、
「自分はいったいいつまで皿洗いをするんだろう、もしかしてこの先もずっと?!接客がしたくて就職したのに…」
と不安が募るのも当然です。
業務の必要性、期間を相手が理解できるようにしっかり伝えた上で、それでも新入社員がそれを受け入れがたいと感じるのであれば、初めて「ミスマッチ」といえるのではないでしょうか。
- 皿洗いは研修期間中の〇日間
- 研修期間中は、店舗のさまざまな仕事を少しずつ経験してもらう
- 皿洗い中にメニューの改善点に気づいたら教えてほしい
- 研修期間が終わったら接客を担当してもらうetc.
このような必要性や期間、今後の見通しを伝えることなく、新入社員の「不満」で片づけてしまうと、今後も辞めていく新入社員は出てくるでしょう。辞めなかったとしても、主体性が育まれることはなく、目的がわからないまま指示されたことだけをやる作業者になってしまいます。
なので、「不満」を「不満」として片づけることには大きなリスクがあります。
既存社員の「不満」にも改善のタネがある

今回、新入社員を例にお伝えしましたが、これは実は既存社員にもいえることです。
もちろん、社員の声のあげ方というのものはあります。会社のためを思った意見として伝えるのか、ただの不満として伝えるのかでは、受け取り手の印象は変わってきます。
ですが、ただの不満としての意見だったとしても、その中に「改善のタネ」はあるかもしれません。
何かしら「不満」につながるような意見を言われた時に、ムカッと感情的に却下せずに、
- その中に「改善のタネ」はないか冷静に考える
- 単なる「不満」ではなく、コーチング的関りで「会社をよくする意見」に引き上げる
というのは、上司や人事、会社としてとても大切なことではないでしょうか。
こちらの内容をきっかけに「不満」からも改善のタネを見つけてみよう!と思っていただけたら嬉しいです。
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咲良美登理事務所 代表 咲良美登理
社会保険労務士。21世紀職業財団認定ハラスメント防止コンサルタント。中小企業を中心に、ハラスメント相談窓口サービスや窓口担当者養成講座の提供、事案解決サポートや人材育成研修など、ハラスメント対策を起点とした生産性向上のコンサルティングを行っている。
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